2009年12月31日(木)
実力のともなった、さじ加減 [美容医療界]
皆様、本年も、つたない戯れ言のコラムにおつき合いいただきましてありがとうございました。
今年の美容医療界を振り返ると、
@新規開業と、経営不振による閉院が、ともに多かったこと
A古くから有る機器の単なるアレンジの新型の光学機器が氾濫したこと
B抗加齢や抗老化と称する、ビジネスに過ぎない、浅はかで、とても医療とは呼べない 施術が氾濫したこと
C価格破壊と称して、時間もコストも省略しながら、肝心の医療の質まで低下させ、大きな障害やトラブルを起こすクリニックが目立ったこと
が、思い浮かびます。
形成外科のトレーニングをきちんと受けていないのに、医師として経験も浅いのに、平気で開業する・・・救急医療のトレーニングを積んでいないのに、平気で点滴療法などで心肺に影響する薬剤を使用する・・・
モラルのない開業医が増えました。
美容外科は、皮膚外科です。外科ですから、どんなに慎重に行っても
ゼロにはできない合併症のリスクが必ずつきまといます。
血行障害や皮膚壊死、感染、血腫、肥厚性瘢痕、アレルギー・・・など
形成外科専門医は、これらのトラブルを、きちんとケアできるトレーニングを積んでいます。
ベンクリニックで手術を受けていたゲストの方で、不幸にも合併症で、心労をお掛けし、大切な時間を浪費させてしまい、申し訳がない思いでいっぱいの方も、実際におられます。
しかし、我々は、形成外科専門医として、「取り返しのつかない」合併症を避ける、経験と思慮分別を備えています。
結果として、必ず、満足していただけるまで、リカバリーのための修正やアレンジを加える、「余裕」を残しています。
実際に他院の施術の、リカバリーを希望されて来院されるゲストが、今年は、本当に増えました。
特に「プチ整形」と呼ばれる施術は、皮膚外科の経験が浅いドクターでも、甘くとらえて、ドンドン手を出されます。そのためか・・・
#フィラーの種類の選択と、注入する深さを誤って、凸凹になった下眼瞼を何例もリカバーしました。
#ACRで顔面全体が、皮下出血と腫脹で、パンパンになった状態で泣きついて来られた方もおられました。
#血腫や感染症で皮膚壊死を生じた場合に、形成外科的な再建手術ができないため、酷い障害を残してしまっている方もおられました。
#腋臭症の再発手術は50例を越えてると思います。実際、皮弁法で開けてみると酷い状態で、アポクリン腺が全く取れていないものもあります。
実際に、当該クリニックの広告やホームページを見ると、良いことずくめのお話しばかりです。自分を名人と自画自賛です。
何故、このクリニックの、このドクターにやってもらう気になれるのだろう・・・と、不思議な気持ちになるばかりです。良識があれば、詐欺っぽく、気持ち悪く感じるはずなのに・・・?
繰り返しますが、当院でも合併症はあります。しかし、適切に対処できるかどうかに尽きます。
形成外科専門医には、失われた組織を再建するノウハウがあります。
クリニックを選択される場合に、「美味しそうな話」と、調子の良い「営業トーク」に心を奪われずに、基本的に、人間として「大人」であるか、医師として通常の皮膚外科の診療をきちんとこなしてきた「経験」があるのか・・・皆様の良識を応援することしかできません。
安くて、安全で、良いもの・・・があるのなら、間違いなくすべてのクリニックで採用されているはずです。
自画自賛クリニックだけが採用しているはずがありません。
品質の維持にはコストがかかるものです。
「無い物ねだりはやめましょう」
後戻りを考慮した、過矯正
将来の修正を考慮した、組織の扱い
これらの
<実力をともなった、さじ加減>
こそ、
美容外科医師に必要な、キャリアと考えます。
Posted by 管理者 at 10時37分
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