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2010年05月28日(金)

<オリジナル>? 美容医療の品格 [美容医療界]

ぼやきます。

美容広告で
「オリジナル」
という言葉が目につきます。

差別化を明らかにしたい「商売」からでている言葉です。

例えば、二重瞼の手術
埋没法なら、
ラインを造りたい皮膚の浅い真皮部分と
挙筋で引き上げられる組織を糸で留める・・・それ以上でも以下でもありません。
それだけです。

皮膚側と結膜側で高さを変えたり・・・
腱板に一部掛けたり、挙筋腱膜に掛けたり・・・
または複雑にジグザグに通してみたり・・・
点にしたり線にしたり、長方形にしたり台形にしたり・・・

腱板法だから糸が結膜側に露出して危ない???
コマーシャル用の議論に思えます。
腱板法でも、粘膜の下に糸を埋め込んで露出させないのが
当院での工夫です。

医師である限り、誰でも工夫することです。
昔から行われてきたテクニックです。
オリジナルではありません。

当然、ある人に行う手術は
色々の方法を組み合わせて行うべきですし、
実際に一人の患者様に、上記のテクニックを組み合わせて行うのが通常です。

オリジナルというには、到底およびません。

オリジナルの○○○法・・・???
あり得ません

美容医療の品格を考えさせられます。

独自の工夫を加えない手術など、あり得ません。
使用する器具や材料を変えただけで、オリジナルではありません。

切開法の重瞼ならば、
刃物のメスをつかうか、高周波メスを使うか・・・
切開線より睫毛側の、皮下組織をとるのか、とらないのか・・・
眼輪筋は、温存するのか、一部でも切除するのか・・・
眼窩隔膜と眼窩脂肪をどのように整えるのか・・・
腱板前組織をどの程度温存するのか・・・
挙筋腱膜にはステイするのか、しないのか・・・

一人一人、基本解剖は同じですが、位置関係や脆弱さなど、組織は全く異なります。
一人一人に、臨床経験から工夫の限りを尽くして行うのが手術です。

広告で、<独自のオリジナル・テクニック>という言葉を目にする度に、
興味を持って調べてみると、
良識と経験のある外科医なら、誰でも、行っている工夫・・・
もしくは、行ったが、不都合があるので止めた・・・医療がほとんどです。

痛み、出血、腫れなどを少なくする工夫は、医師の常識です。

<独自の工夫>を組み合わせるのが「手術」です。

オリジナルの○○○法・・・
が、医学会などを通じて、同業の医師から、
まさに革新的なオリジナルと認定されるなら、
論文で「引用」されるようになります。
他の医師が、その言葉を「引用」するようになります。
過去の常識と異なる方法なら<オリジナル>認定です。

オリジナル?
言ったものの勝ち・・・???
恥ずかしくないのでしょうか?

当院のゲストや家族が、
広告で見かけた<オリジナルの○○○法の手術>
を受ける・・・と相談をされたら
羽交い締めをしてでも、制止します・・・(真面目)

過去から存在する工夫に、独自の工夫を加え続けているクリニック。
<オリジナル>ではなく、
むしろ
進化し続けているので、前回の手術がすべて、過去の方法と考えているような、
クリニックにしなさい!
とアドバイスします。

美容医療や抗加齢医療の
<品格>
を、下げ続ける、
<ビジネス系クリニック>
が、後を絶たない現状を憂います。

Posted by 管理者 at 11時25分

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