2008年03月08日(土)
「ベンクリニック品質」:BOTOX(ボトックス) [美容医療界]
「ベンクリニック品質」について、数回に分けて書かせていただきます。
最初はBOTOXについてです。
BOTOXは小さなガラス製のバイアルに入った状態で、入荷してきます。
使用直前に生理食塩水で溶解してから使用します。
溶解するまでは4℃以下で保存しなければいけません。
4℃以上になると「失活」してしまいます。
BOTOXというのはアラガン社の商標で、実際にはボツリヌス毒素AおよびBを含む製剤を慣例で「ボトックス」と呼んでいます。
ボツリヌス毒素は安全なまで希釈されて、血液の成分である「アルブミン」というタンパク質にひっつけて安定化されています。これをガラスのビンの壁に結晶様の状態で付着させてあります。
「振動」を与えて、結晶が物理的にこわされると、やはり薬剤としての効果である「力価」が落ちるとのことです。製品としての安定化には、「アルブミン」の量が重要になります。
ベンクリニックのBOTOXは、米国アラガン社製のものを輸入しています。英国製(工場はスペイン)、中国製、韓国製のものは使用していません。「アルブミン」の「出所」と添加量が不詳だからです。
冷凍された状態で、成田空港に着いたBOTOXは、出荷時に「ドライアイス」を添えた、クール便でクリニックに搬入されます。
ベンクリニックでは専用の冷凍庫を備えていますので、直ちに移動保管します。
過去に2回、製品を輸入代行業者に返品したことがあります。
それは、クリニック搬入時に「ドライアイス」が溶けて無くなっていたからです・・・この状態では、途中で4℃以上になった可能性があります。
一度、温まったバイアルを再び、冷凍しても、既にBOTOXの力価は減退しています。
業者様曰く
「それほど、厳格に製品の管理をされているクリニックを他に知りません・・・」
「他のクリニックでは、別に構わない、と言われますが・・・」
大切なゲストの皆様に使用する薬剤の管理を厳重にすることは、
「ベンクリニック品質」では、当然のことと考えています。
その他、BOTOXはアルコールや麻酔薬でも、力価が落ちます。
バイヤルを扱う場合は、
振動を与えないように、ガラス壁にそっと沿わすように生理食塩水を流し込み、決して振るようなことはしないで、静かに円を描くように回します。
吸引時には決して、アルコールで消毒してはいけません。痛みを和らげるための麻酔も力価を落としてしまいますから、御希望の方には、その旨をお話ししなければいけません。
僕自身がアラガン社が主催する「BOTOXトレーニングコース」を終了しているからこそ、正しい、品質管理ができるものと思います。
BOTOXは「毒薬指定」をうけている薬剤です。
厳格に管理保存しなければいけないことに法律で決められています。
溶解前は「鍵のかかる冷凍庫」、溶解後は「鍵のかかる冷蔵庫」での保存が正しい管理です。
当院でも、市販の冷凍庫と冷蔵庫に加工して「鍵」をつけていただきました。
先日、定期の立入検査に来られた、官庁の方が、他のクリニックでは、いくら注意しても、ルーズな管理で、もちろん「鍵」もかけていない・・・と、嘆いておられました。
美容クリニックでも皮膚科クリニックでも、
不十分な製品管理が常態化しているようです。
ゲストの皆様に、安全で高品質のメディカルケアをお届けするために、
譲れない、「ベンクリニック品質」があります。
派手なキャンペーン広告に惑わされて、コストのことばかりで、メディカルケアを考えないでください。
もっとも大切なことは
「治療の品質」
では、ないでしょうか。
Posted by 管理者 at 17時34分
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