2007年04月03日(火)
わきが手術:本音トーク [美容医療界]
ワキガ(わきが・腋臭症)と多汗症の手術が多くなるシーズンになりました。
ベンクリニックでも連日、手術予約でいっぱいです。
健康保険で悩みが解消できる「皮弁法」は、直接アポクリン腺を見ながらハサミで切除しますので、再発はほとんどありません。
ここで、僕の「本音トーク」です。
僕自身は皮弁法を500例以上行っていますが、アポクリン腺組織は刃物で切除しないと絶対に除去できない組織だと思います。直接見ながら確実にハサミを入れても、簡単に切除できないほどしっかりと皮膚と一体化しています。皮弁を上手に飜転して端までしっかり剪除するには、50〜100例ほどの真剣な手術を経験する必要があることが、今まで後輩を指導してきた印象です。慣れない頃は両脇で2時間以上掛かることもあります。きちんと剪除するには、それなりの時間が必要です。
皮弁法でも傷の小ささを競うような広告を目にしますが、3cmは切開しないと端は見えません。手術に魔法の杖や手品はありませんので、皆様の良識を働かせることをお勧めします。
メディアに多数露出している「超音波法」で崩れるのはほとんどが脂肪組織です。超音波吸引法の再発を数例、皮弁法で手術しましたが、脂肪が吸引されているだけで、アポクリン腺はほとんどそのままという症例ばかりでした。よほど上手に操作しないと効果を出すのが難しい方法だと思います。
ローラー付きの器具で挟んで擦り取る方法も、僕には理解できません。
アポクリン腺が除去できるほど鋭利な刃物なら、はさんで擦るという操作で皮膚を相当傷めてしまうと想像します。ワキは複雑な立体的局面で構成されています。大きな平坦な器具で紡錐形の端が処置できることは理解できません。実際にこの方法の再発例を皮弁法で手術すると、皮膚のダメージによる拘縮が強く、剥離に難渋しますし、器具が入りにくい乳房側の端の取り残しが印象的です。
普通の脂肪吸引に準じた吸引法でも、術者が熱心に吸引すれば、効果が有ると思いますが、かなりの労力(術者は汗びっしょりになるはずです)が必要ですから実際にはそこまでされている先生は少ないと思います。
皮弁法をしっかり行うのが、効果の面ではベストです。
ただし、傷跡の問題が気になる人には、「クワドラカット法」を行っています。この方法は回転する刃物と吸引のハイブリッド機器を使用しますので、実際には刃物で切除しています。傷跡は5mm程度です。
ただし、クワドラカット法は上手く操作しないと、しっかりすればするほど皮膚が穴だらけになります。実際には「穴だらけ手術」しかできないので撤収されたドクターもおられると聞いたことがあります。反対に15分ほどしか時間を掛けない先生も多くおられるそうです。見学に来られた先生が、ベンクリニックの「クワドラカット法」があまりに丁寧で時間を掛けて行うことに驚かれたことがあります。
痛みに対しても、社会生活復帰に関しても「ベンクリニック品質」の手術を今後とも研究してまいります。
最後に、どのような手術方法でも、効果がでるだけしっかり行えば、皮膚は一度ダメージを受けて、「拘縮(縮む)」や「色素沈着」を起こします。
時間をかけて回復するものですから、しばらく我慢が必要になります。
術後の状態の事ばかりを気に掛けていると、思わぬ「甘い言葉で美容の落とし穴」に引き込まれかねないので、御注意下さい。
多汗症のボトックス治療には、中国製などの安い薬剤を使用されるクリニックが多いといわれています。当院ではコストはかかりますが、米国アラガン社のBOTOXを1回で80〜100単位(1バイアル全部)を使用しています。コストばかりに目を奪われると「ベンクリニック品質」は維持できないと考えています。
久しぶりの辛口「本音トーク」でした。
Posted by 管理者 at 18時13分
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