2007年01月27日(土)
エレクトロポレーション<メーカーの詭弁> [美容医療界]
最近、多くの美容クリニックで、従来のイオン導入に代わる機器として「エレクトロポレーション」という電気的な振動で細胞に穴を開ける技術を「謳った」機器が使用されています。
次世代治療「針を刺さないメソセラピー」との期待も高まっています。
「イソダーム」「トランスダーム」「アクシダーム」・・・etcなどの製品名で、エレクトロポレーションの新しい機器として売り込みに必死です。
従来のイオン導入では浸透させられない高分子のヒアルロン酸やコラーゲンをはじめ有効成分が皮膚に導入できる・・・という「メーカーの弁」を信じて、
「リフトアップができます」などと患者様に説明している先生がおられます。
使用する溶剤はメーカーが販売しているものです。
しかし、待ってください
メーカーが言うように、「エレクトロポレーション」作用があるなら、細胞膜に穴を開けることになります。細胞の中にまで溶剤が入り込むのですから、
<体内に注射しても構わない医薬品レベルの薬剤でないと危険です>
コラーゲンの分子量(大きさ)は30万以上と巨大です。
コラーゲンは種差が大きく、細胞内に入れるなら、「人」の皮膚のコラーゲンしか無意味です。
溶剤に「人」のコラーゲンを用いているものは皆無です。
コラーゲンの大きさが細胞内に入るなら、ほとんどの異物はそれより小さいので、全て入ります。
ましてや防腐剤が入っている、一般の化粧品を使用する事は許されないはずです。
危険極まりない施術です。
しかし、現実はどうでしょう・・・・?
もし、本当に深部の皮膚細胞に取り込まれるなら、コスメレベルでは異物が多く、アレルギーは必発のはずです。
実は、これらの機器の一部はメディカル機器として紹介される以前に、国内のエステサロンに流通して、一般的なコスメレベルの溶剤を導入された歴史・実績があります。既にエステで昔から使用しているところもあるようです。
現在でもエステサロンで、不純物たっぷりの溶剤をエレクトロポレーションとして導入しています。
メーカーはこの事実を隠しています。いかにも新しく医療用に輸入されてように医師に売り込んできます。
過去に流通したときは、市販の化粧品使用しても特に異常の報告はなかったようです。
理論通りに高濃度で浸透すれば起こるはずの不都合が実際には起こらない・・・?
理論と実際の矛盾です。
メーカーは平気で嘘をつきますが・・・
ドクターが嘘をついては困ります。
高分子が肌の奥まで浸透するのなら、コストが掛かっても、せめて注射できる品質のフィラーを使用するべきです。
ところが、ドクターによっては、メーカーが販売する、実際には注射はできそうにない溶剤も使用しています。
1回の施術に溶液が数cc以上必要ですから、10000〜20000円のコストで注射用のフィラーや本物のメソセラピー用の薬剤が使用できるとは思えません。知り合いのドクターで本物の注射用のメソ溶剤を使用されている先生は顔で1回70000円です、溶剤の原価と必要量からして妥当なコストだと思います。
従来のイオン導入は細胞に穴を開けるような危険な施術ではありませんから、コスメレベル品質のものが使用されることもあります。
メーカーはデモンストレーションとして瞬時のリフトアップを体験させてくれます。
当院でも1カ月新しい機器を借りて、自分やスタッフの肌で様々に試用してみました。
結論は、
メソセラピー用の薬剤を使用した場合の効果は、残念ながら注射にはおよびません。
リフトアップ効果はヒアルロン酸やコラーゲンなどの高分子薬剤が深部まで浸透するからではないと思いました。持続期間が短過ぎます。
角質や表皮など、皮膚の浅い部分に浸透することによる保湿効果と、従来のイオン導入の効果、そしてメインはエステティック・マッサージの効果だと判断しました。
瞬間にリフトアップさせて数日持続させるくらいはエステでは常識です。
インディバだけでも十分に得られる結果でした。
せめてメソセラピーに匹敵する性能が認められるまで、当院への導入は見送りました。
メーカーは実験レベルで高分子が真皮まで浸透しているデータなどを示しますが、実験と臨床は違います。エレクトロポレーション自体は実験的に確立されている技術ですから、実験データがあるのは当然です。
メーカーが深部導入の実証としている「ヘパリン」は分子量が3000のものです。
医薬品の皮膚外用剤が塗るだけで、深部まで浸透する大きさの分子があるように、エレクトロポレーションなどしなくても、楽々浸透する物質です。
我々が普通に処方する外用剤の「ヒルドイドクリーム」は塗るだけでヘパリンが浸透します。
有名大学の実験は、元々塗るだけで浸透する医薬品を、さらに有効に浸透させる実験です。
医薬品を導入しているのであって、
美容目的のコスメ成分を導入しているわけではありません。
ましてや、種差のある、異物のコラーゲンを細胞内に導入するなんて犯罪に近いものです。
美容で通常行われる、注射で注入するフィラーは細胞内には入りません。
あくまでも細胞と細胞の間です。
現時点で<メーカーの詭弁>に乗るわけにはいきません。
メーカーは機器を売り込んだのち<消耗品の自社取り扱い薬剤>で一儲けしたいだけだと思います。
一部の機器で米国FDA認可と称しているものがありますが、従来の「イオン導入機」としての認可です。いかにも新しいエレクトロポレーションで認可されているように見せかける<メーカーのごまかし>です。
実証はあくまでイオン導入と同レベルです。
現行の性能では、高価なメソセラピー用の薬剤を使用することはできません。
もう一度言います
「エレクトロポレーション」自体は生物学の実験でも確立しています。
人間の皮膚で臨床的に実用できるかどうかの話です。
最新のメディカル専用機器である<メソアクティス>の添付データでは、
実験で導入が検証されているのは、僅か1μmの深さ、
すなわち、0.001mmの深さでの導入率の比較実験結果でした。
表皮の角質層すら超えない、お話しにならない浅いレベルです。
なぜ、わざわざこんなに浅いレベルでの比較検討をするのでしょうか?
グラフにして、他の導入方法と差を強調できるからなのではないでしょうか?
「差を見せるための意図的な実験」を疑います。
この実験データを自らのホームページで紹介しながら、臨床に有効と説明しているドクターもおられますが、科学者としての良識を疑います。
おそらく単位や条件を確認されていないのでしょう・・・
実験としては意味があっても、臨床では意味のないデータです。
見せかけで都合のよい小さな単位を選んだデータをそのまま信用して、表皮や真皮に高分子が導入されると説明するドクターのモラルが分かりません。
すくなくとも研究に従事したドクターなら、実験データは、まず条件と、単位などを確認します。臨床的には意味のない実験はいくらでもあります。
当院の卞 勝人と成 耆徹は医学博士です。
又、ヒアルロン酸を高分子と説明しているドクターは、ヒアルロン酸の構造式を知らないのだと思います。ヒアルロン酸は2種類の糖質の無限の繰り返しです。低分子から高分子まで自由自在に作れます。
ヒアルロン酸でも、ドクターベンが特許を使用して、販売している
ヒアロハイブリッド<シンプルヴェール・セラム>は分子量800ですから、塗布するだけで、真皮はもちろん、基底細胞の細胞膜のチャンネルを通過して、酵素で再び連結されて、細胞の間に分子量40000以上の高分子で再合成されます。
分子量の小さなヒアルロン酸も存在しているのです。
コラーゲンという巨大分子が導入されるなら、皮膚表面のあらゆる有害物質、細菌毒素、汚染物質もらくらく導入されてしまいます。
都合の良い成分は深部まで導入されると言い
都合の悪い成分は、無視して話題にしない・・・
デタラメな屁理屈です。
実際に「エレクトロポレーション」には選択性がないので、汚染物質も全て細胞に入ってしまいます。完全に皮膚を滅菌・消毒しての導入は現実には不可能です。
#汚れた皮膚に<サロンパス>を直接貼っても、何ら問題ありません。有効成分のみが深部に浸透します。
#汚れた皮膚をメスで切開したり、。針を深部に刺しても問題ありません。細胞の膜を壊すことはなく、細胞に影響を与えることもありません。
#汚れた皮膚で<エレクトロポレーション>を行うことは、もし本当に高分子が細胞を破壊しながら深部に導入されるなら、問題だらけになります。選択性がなく、皮膚表面のあらゆる物質を細胞の中に押し込むことになるからです。皮膚表面には汚染環境因子、有害物質、常在菌が溢れています。
そもそも、角質も細胞間結合も、もちろん細胞膜も、自分に必要な物を選択して、自分で選んで、取り入れるか・入れないかを決めている。優秀なバリアなのですから、電気で揺さぶって、デタラメに穴を開けて、<コスメレベル>でつくった溶剤を無理矢理に入れ込むなど、まさしく
<皮膚への強姦>
です。
しかし、前述のごとく、浸透に差が出るのが、わずか0.001mm(千分の1ミリメートル)の浅さなら安心です。角質層さえも超えません。
安心ですが、深部深達で説明されている臨床効果も皆無です。
0.001mmならコスメを塗布するのと何ら変わりありません。
これなら、実際にエステサロンや家庭機器で<エレクトロポレーション>を行っても安全です。実際に問題は起きていません。
もしも深部まで入っているなら、危険極まりない施術
入っていないなら詐欺の施術
いずれにしても、何百万円もする機器を購入する意義が不明です。
今までにエレクトロポレーションを受けられた方は、是非、担当ドクターに、使用されている溶剤を自分に皮下注射できるか尋ねてみてください。
深部導入されると説明されているのですから、
皮下注射できない溶剤なら、危険極まりないことになります。
注射できない溶剤を、細胞膜を壊しながら「深部に導入しています」と説明しているなら、トラブルが生じた場合には医療過誤になるのではないでしょうか?
「生体バリアの細胞膜や細胞間結合を壊して深部に押し込む」
「注射できるスペックでない溶剤を導入している」
「選択性がなく、皮膚表面に元から付着する、有害物質も押し込む」
メーカーの方に、これらの疑問を投げかけても、いつも回答は頂けません。
回答は頂けないまま、
「とにかくデモで使用してみて下さい」
「多くの施設で、有名なドクターが使用しています」
と迫ってこられます。
ベンクリニックでは、納得の行かない機器を導入したことはありませんので、丁寧に辞退させていただいております。
リフトアップやタイトニングを示しているビフォーアフターの写真ですか・・・?
「無意味」です。効果の実証にはなり得ません。
例えば、何も施術などせず、「往復ビンタ」で顔を叩いて、保湿さえすれば2日間ほどはリフトアップやタイトニングさせることなど造作もないことですから・・・
角質の保湿と浮腫を起こさせる行為なら、何であっても瞬時のリフトアップとタイトニングは可能です。
インディバでも、イオン導入でも、フォトでもポラリスでも・・・
温冷効果と保湿を利用したパックだけでも可能です。
他に何らの施術をせずに、1カ月経過しても、リフトアップやタイトニングが持続しているなら、深部導入も信じることもできるのですが・・・
インターネットでは、家庭用のエレクトロポレーション機器の販売オンパレードです。
欧米本国でエステサロンや家庭用扱いの程度の機器を、我が国のメーカーがあたかも「メディカル専用機器」のようにドクターに売り込むことは「国家の品格」に関わることだと思います。
それでなくとも、美容医療の品格が問われている時代なのですから・・・
<健康業界、緊急内部告発>無料試聴キャンペーン
Posted by 管理者 at 13時59分 パーマリンク
2007年01月23日(火)
大津にて [街道をゆく<プチ>]
司馬遼太郎記念館で、蔵書20000冊に囲まれて至福の時間を過ごした後、昂ぶった気持ちを抑えきれずに、そのまま名神高速を東へ・・・
最近、心に留まっていた明智光秀を訪ねて大津まで足を伸ばしました。
敏腕官僚のように実務に長じ、織田家の台所をきりもりした実力・・・他面、律儀で慣例を重んじ、旧体制を刷新しようとする信長に、最後はついて行けなくなった・・・あれほど拒否していた比叡山の焼き討ちでも、いざ実戦となると周辺の村々に対して、皆殺しにする旨をもって、根回ししていた光秀。
その後、坂本城主となり、自ら焼き討ちにした比叡山を含めて、大津周辺を治めることができた人望。
奇をてらうことなく、地道な努力で一国を運営した手腕は、難局に際したときのビジネス経営にひとつの指針を与えてくれます。
大津プリンスホテルの
最上階のラウンジから
琵琶湖を眺めました。
光秀も、湖畔の民々の
「灯り」に臨んで、
何を思ったことでしょう・・・
久しぶりに充実した休日になりました。
Posted by 管理者 at 18時29分 パーマリンク
2007年01月22日(月)
司馬遼太郎記念館 [休日に・・・]
昨日、司馬遼太郎記念館に行って来ました。
僕の読書の50%以上は司馬さんのものです。
記念館は司馬さん(本名:福田定一)の自宅を含んで隣接しています。
庭は気負いのない自然体で、司馬さんの温かさを感じました。
書斎には縁側があり、読書をされた椅子からは庭が一望できるようになっていました。
書棚には断筆となった「街道をゆく:濃尾参州記」の資料が、
縁側のテーブルには当時愛煙されたマイルドセブンまでがそのままに・・・
すべてが司馬さんが亡くなられた日のままに保存されています。
書斎の横で故人に思いをはせていると、
「まあ、君、こちらへ来たまえ」・・・と、呼びかけられた気が?
振り返ると・・・えっ?
一匹の猫が、
「ほら、ついてきなさい」「よう来てくれたな」「君が来てくれるの、待っとったんやで〜」
ほのぼのとした関西弁でと記念館へ先導してくれるではないですか。
司・・・司馬さんに違いない。「司馬先生、待ってくださ〜い」
司馬(猫)さんの案内で記念館へ、「空海の風景」の特別展示中でした。
司馬さんが自身の作品の中でも一番好きだといわれていますが、僕も大好きな作品です。「空海という天才」の真実に迫ります。
館内は撮影禁止です。
蔵書に囲まれた
心地の良い静粛さの中で、ゆっくりと時間が過ぎてゆきます。
ここは「知のミュージアム」です。
僕は常々感じています・・・「現代人の心は病んでいるのだ」と。
病人ですから生の歴史や偉人達の声を、あるがままで飲み込んで滋養にすることが適いません・・・
司馬遼太郎さんは、何万冊もの資料や文献を読破することで「時空の旅人」となり、タイムマシンで歴史の現場に取材をされてきます
病んでいる我々にも飲み込むことが出来るように、噛み砕き、柔らかく仕込んでくれます。
読者が2000年以上の時間を生きているような・・・歴史上の人物がすぐ隣りにいて、まるで友人・知人のような気がするまで・・・
僕は司馬さんの作品を通じて、歴史に内在する「知的遺産」への接し方を教えていただきました。司馬さんの作品に出会えなければ、「独りよがり」のままだった
と思います。
「二十一世紀に生きる君たちへ」の肉筆原稿を間近に見て、涙があふれてきました。
司馬遼太郎先生、ありがとうございました。そして、これからも宜しく御願い申し上げます。
Posted by 管理者 at 15時54分 パーマリンク
2007年01月13日(土)
熱心な御見学ありがとうございます。 [クリニックにて]
開院以来、当院には沢山の医師の先生方が見学にお越しになられました。
設計設備はもとより、施術の流れや仕組みを熱心に研究されていかれます。
特に、コラーゲン・ヒアルロン酸などのフィラー注入やBOTOXについては、御自身でモニターを同伴されて、実習をかねて当院で指導をさせていただくこともあります。
学会のワークショップなどよりも、詳しく当院のテクニックのノウハウをお伝えできるので、喜んでいただけます。
当院が取り組んでいるMENA:にもとずくサービスのあり方、
健康・癒やし・美のバランスについて、いろいろな先生とお話しできることは、なによりも楽しいことです。
昨年は、新潟、東京、広島、高知からのご見学がありました。
本日は遠く沖縄から形成外科のベテランがお越しになられます。
明後日には横浜から美容外科の開業医がお越しになられます。
熱心な先生方のベンチマークにしていただけることは光栄であり、心身が引き締まる思いです。
皆様、ありがとうございます。
Posted by 管理者 at 15時19分 パーマリンク
2007年01月06日(土)
年頭コラム [クリニックにて]
本日、1月6日が仕事始めです。
今年は丁亥(ていがい)ですね。
亥は猪突猛進などと動物になぞらえた性格の表現をされますが、本来の意味合いは
「木」へんをつけて「核」と考え、分裂する前の細胞を意味します。
命理学では、パワーを内在した種の状態を表します。
昨年はMENAを提言し、ヴィータスペリオーレ倶楽部を立ち上げました。
今年はじっくり内容を充実させながら、全国のアンチエイジングを唱える施設から
ベンチマークにされるようなクリニックになるべく、パワーを蓄えたいと思います。
皆様、本年も宜しくお願い申し上げます。
昨年のプライベートの事情で、年頭のご挨拶状を控えさせていただきました。
沢山の年賀状を頂戴いたしましたこと、厚く御礼申し上げます。
Posted by 管理者 at 17時59分 パーマリンク
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